2023.10.21 00:07蕪村春秋 髙橋 治「ひとり来て 一人を訪ふや 秋のくれ」診察室に飾ってある絵を変えました。以前はピカソのでした。(もちろんプリント)患者さんとの「いい絵ですね」「ピカソなんですよ」「えー!?」というやり取りも楽しかったのですが、素敵な絵に出会ったので。新しい絵は望月通陽さんが与謝蕪村の句に寄せて描いたシリーズの一枚です。「ひとり来て 一人を訪ふや 秋のくれ」という句がウチの一枚。診察の風景ではないか、と感じ入った次第。夏にかけ替えたのですが、秋になってからの方がより心に沁みいります。と言うわけで、今待合室には望月さんの本と与謝蕪村について書かれた本が書かれた本が並んで置かれています。与謝蕪村について何も知らなかったのですが、こうして興味が広がっていくのが、芸術のいいとこ...
2021.05.17 22:21MANGA DAY to DAY後世へ届けるいつの芸術も時代の影響を受けないものはないのでしょうが、今のコロナ禍での作品たちを見ると特にそのことを強く感じさせます。まるで神話で聞いた大鷲の黒い影が地球全体を覆っているかのようです。 この「MANGA DAY TO DAY」はコロナ禍での2020年4月1日からの日常を109組の漫画家たちが毎日リレー形式で描き繋いだものです。ソーシャルディスタンスは人々を分断し、孤独にしましたが、隣人は決していなくなったわけではありません。それぞれの場所でそれぞれの日常を懸命に生きているのです。109通りの(コロナ禍とはいえ)何気ない日常生活はそのことを改めて教えてくれます。もう、たまらなくなってカーテンを開けたとき、遠くに見える窓のカーテンも...
2021.02.21 06:16の junaida子供の頃に何度も見た、空想世界終わらない旅に出発します絵本を読むのは昔から大好きでしたが、自分の子供たちが大きくなるとどうしても接する機会は減ってしまいます。当クリニックの対象年齢は今のところ中学校卒業からとしているので、小さな子供たちが受診してくることはなかなかないのですが、お母さんが連れてきてくれたり、お兄ちゃんについてきたり、小さな子がクリニックの待合で楽しそうに過ごしている場面が時折見られます。その可愛らしい姿に思わずスタッフたちも笑顔になってしまいます。何年も新しい絵本を買うことがなくなっていましたが、クリニックをオープンしてから、彼らをお迎えするために絵本を選ぶことが増えています。最近、本はどうしてもネットで買うことが多くなっていますが、...
2021.02.21 06:13空気が読めなくてもそれでいい。細川貂々 水島 広子生きづらさの正体に気がついた作者が、精神科医と話すことで自分を知り社会適応への対処法を見つけていく私のクリニックにも発達障害を心配して受診する方が増えています。昨今の流行かADHDを心配して受診する方が多いのですが、そういう方の中にASDタイプを疑わせる方もいらっしゃいます。発達障害は主にASDタイプとADHDタイプに分かれます。この本はASDタイプについて詳しく描かれた本です。以前はアスペルガー、いまは自閉症スペクトラムと呼ばれる発達障害です。障害まで行かないグレーゾーンを含めた言い方として、非定型発達という言葉をこの本では用いています。自閉症スペクトラムは空気を読むことが苦手、という特性を持ちます。微妙なニュアンスや人の心の裏を読み取ることが得意で...
2021.02.21 06:10統合失調症を患ったお話 Himaco統合失調症の当事者が語る症状と治療について大切な「伝えたいこと」クリニックの本棚の一角に、精神疾患について書かれた本を集めています。苦しんでいるのは皆さんだけではない、1人ではないぞ、というメッセージを込めて当事者の方の本を並べることが多くなっています。ちなみに統合失調症は100人に1人の方がなる病気で、決して珍しくはない身近な病気です。この本の絵と文を書いたHimacoさんも統合失調症にかかりました。優しい絵柄と素朴な文章で綴られています。ページ数も多くなく、絵本なのですぐに読み終わることでしょう。ただ、発症して何が起こったのか分からずに不穏になる気持ちから、治療に目覚めて病識を獲得していくまでの経過が克明に描かれています。私は胸が苦しくなりました...
2021.02.21 06:08GARDENSLIFE・GARDENSLIFE2 宮本里美お庭から広がる豊かな暮らしの提案書眺めるだけでも幸せになれますクリニックには、元々3つの森を持つという計画がありました。「こもれびの森」「さえずりの森」「四季の森」です。諸事情で今までは東側の「こもれびの森」しか完成しておりませんでした。口の悪い友人からは「こころの森と言ってもそんなに森じゃないよね」とからかわれることもありました。「こころの森」は比喩でもあるので、嘘というわけではないのですが、「本当に森の方が、そりゃあ、いいですよね」とは私も思っておりました。この度、北側と西側の森が完成いたしました。森に包まれた癒しの空間というコンセプトが一応完成です。先の友人も「結構森だね」と評してくれております。とはいえ、まだまだ若木が多いので、これから成長し...
2021.02.21 06:05しらふで生きる 町田康断酒を通して考える、人間とは何か 大酒飲みが繰り広げる面白おかしい断酒記録30年間、毎日浴びるほどに酒を呑み、騒いではトラブルなどを起こし、しかし、それが本望と信じていた作家が突然に酒をやめた顛末について書かれた本です。元々、くどくどと屁理屈をこね続ける、と言うのが芸で、それが面白く、哀れで、カッコ良く、かっこ悪くという作家ですから、もちろん、酒をやめた理由についてもくどくどと屁理屈をこね続けております。作家はどういう心境で酒をやめようと思い、やめた後、どういう心境の変化が訪れたのか、落語のように可笑しい文体で、しかし克明に綴られています。酒についての話はやがて幸福についての話に及び、ついには人生についての話に至ります。考えてみれば、アルコール依存の...
2021.02.21 05:55キースジャレットを聴け! 中山泰樹巨匠キースジャレットの参考書本棚の片隅に銅色のスピーカーを一つ置いてあります。そこで何をかけようかな、というのはクリニック開設前からの楽しい悩みのひとつです。イージーリスニングと称したコンピレーションアルバムがたくさんあって、それをかけるのが無難かな。と思ったこともありましたが、結局、自分の好きな曲を流す事が多くなっています。その結果クリニックでこればかり流れているキースジャレットの作品について一作一作解説された本です。語り口も軽く、読み物としても面白いです。おそらく当クリニックで最もかけられているアルバム「ケルン・コンサート」についてはP110に書かれています。天上から降りそそぐ珠玉のメロディー、と言う題です。待ち時間、この本を手にとりながら、キ...
2021.02.21 04:54失踪日記・アル中病棟失踪日記2 吾妻ひでおアルコール依存症から脱却しようともがいている全ての方々に寄り添い、応援したくなる書少し前に話題になりましたよねと思って購入しましたが、届いてみると初版は2005年でした。年をとるのは早いものです。作者であるギャグ漫画家の実体験を基にしたノンフィクション漫画です。続編のタイトルからもわかるようにアルコール依存症のお話ですね。しかし、ギャグ漫画家の作らしく、あくまで暗くなり過ぎず、ユーモアと客観性にあふれています。軽くさらさらと読めます。面白いです。が、それだけに隠された苦しみと不安が読後に押し寄せてきます。吾妻さんは食道癌ですでに亡くなられたそうですが、今作の後も断酒は続けられたそうです。作者はもちろん、アルコール依存症から脱却しようともがいている全ての...
2021.02.21 04:45ほげちゃん やぎたみこ思わず笑っちゃうかわいさおじさんからゆうちゃんのうちに届いた青いぬいぐるみ「ほげちゃん」大人も子供も思わず笑ってしまう展開が待っています。優しいタッチの絵柄が、心を和ませます。ぜひ、お手にとって読んでみて下さいね。
2021.02.21 04:38ダイエット幻想 磯野真穂摂食障害の方はもちろん、現代社会に生きる全ての人々に向けられた本摂食障害に造詣の深い筆者の作だったので購入しました。しかし、読んでみると摂食障害の方はもちろん、現代社会に生きるづべての人々に向けられた本でした。個性的であれ、と言いながら、自由に振る舞うと、わがままだ、うざい、と疎まれる。周りからの評価に晒され、苦しんでいる全ての人々について書かれた本です。体重を気にしている方々にも、「食事を数字で考え始めたら要注意」など重要な助言がたくさんあります。ぜひ、お手にとって読んで見てください。第1章 やせせたいのか、やせたいと思わさせれているのか?第2章 人に認めてもらいたい第3章 かわいいの落とし穴ー「女の子」はいつまで続く第4章 シンデレラ体重第5章 愛...